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コラム

仕組みファーストで作るから、AI開発は失敗する

エージェント、自動ループ、複数AI連携。仕組みは面白いが、そこから考え始めると本末転倒になる。AI開発で最初に必要なのは「何を作りたいか」であって「どんな仕組みを使うか」ではない。

仕組みファーストで作るから、AI開発は失敗する

最近、AI開発まわりでいろいろな仕組みが出てきている。

エージェント。
自動ループ。
自己修正。
複数AIの連携。
AIにプロジェクトを完走させる仕組み。

それ自体は面白い。

でも、同時にかなり本末転倒だとも思う。

仕組みを知ることと、仕組みから考えることは違う

もちろん、仕組みを知っておくことは大事だ。

こういうエージェントの組み方がある。
こういうループが使える。
こういう自動化ができる。

それを知っていること自体は武器になる。

ただし、そこから考え始めると危ない。

「この仕組みを使って何か作れないか」

この発想になると、だいたいうまくいかない。

なぜなら、出発点がプロダクトではなく、仕掛けになっているからだ。

大事なのは「何を作りたいか」だ

AI開発で一番大事なのは、結局どこまで行っても、

何を作りたいか

である。

誰のために作るのか。
何を解決するのか。
どんな体験にしたいのか。
何ができたら完成なのか。

ここがないまま、仕組みだけを組んでも意味がない。

AIに任せれば何かすごいものが出てくる、というのは幻想だ。

ほとんどの場合、AIが出してきたものを採用するかどうかは人間が決める。

つまり、最終的には自分が「これはいい」と思えるものしか残らない。

だったら、その人間の判断力以上のものは、基本的には出てこない。

AIは、自分の限界を超えてくれない

AIを使えば、自分の能力は拡張される。

でも、自分の限界が完全になくなるわけではない。

何が良いのか分からない人間は、AIが出した良いものを選べない。
何がダサいのか分からない人間は、ダサいものをそのまま通す。
何が売れるのか分からない人間は、売れないものを作る。
何が完成なのか分からない人間は、いつまでも変なものをいじり続ける。

AIは手を増やしてくれる。
速度も上げてくれる。
選択肢も増やしてくれる。

でも、判断する目までは勝手に与えてくれない。

だから、どれだけ仕組みを組んでも、自分の目が低ければ、低いものが出る。

「俺にも作れた」の次に罠がある

AIコーディングの最初は楽しい。

コードを書いたことがない人間でも、何かが動く。

「俺にも作れた」

この体験はかなり強い。

でも、その次に罠がある。

エージェントを組めばもっとすごい。
ループを回せばもっと自動化できる。
複数AIを使えばもっと賢くなる。

そうやって、どんどん仕組みに寄っていく。

気づくと、何を作りたいかではなく、
どんな仕組みを使いたいかが中心になる。

これはかなり危ない。

仕組みファーストで作ると、だいたい「何これ」というものができる。

仕組みは後から使えばいい

順番が逆なのだ。

まず、作りたいものがある。

その上で、

この部分はループを組めるな。
ここはエージェントに任せられるな。
ここは自動検証できるな。
ここはAIにレビューさせられるな。

そう考えるのはいい。

仕組みは、目的に対する手段である。

でも、仕組みそのものを出発点にすると、かなりズレる。

ハンマーを持ったから何か叩きたい。
ドリルを買ったから穴を開けたい。
エージェントを知ったから何か自動化したい。

それではプロダクトにはならない。

AIは能力差を消さない。増幅する

AI時代になると、誰でも作れるようになる。

これは本当だ。

でも、誰でも同じものが作れるわけではない。

元の発想力が高い人間は、やはりいいものを作る。
構造を見抜ける人間は、やはり強い。
目的を決められる人間は、やはり速い。
何が良いか判断できる人間は、やはり残る。

逆に、そこが弱い人間は、AIを使っても弱い。

AIが能力差を消すのではない。
むしろ、能力差を増幅する。

だから、自分に作れないものを無理に作る必要はない。

自分の目で良し悪しが判断できる範囲で、ちゃんといいものを作ればいい。

難しいものを作れる人間もいれば、
単純だけど刺さるものを作れる人間もいる。

全員が複雑なエージェントを組む必要はない。

自分が理解できない仕組みを使って、自分でも良し悪しが分からないものを作る方が危ない。

仕組みファーストをやめろ

AIで何かを作るときに、最初に考えるべきことは、

どんな仕組みを使うか

ではない。

何を作りたいか

である。

そのうえで、必要ならエージェントを使えばいい。
必要ならループを組めばいい。
必要ならAIにレビューさせればいい。
必要なら自動化すればいい。

でも、それはあくまで手段だ。

目的がないのに、仕組みだけ立派。
売る相手がいないのに、構成だけ複雑。
誰も欲しがっていないのに、AIだけがよく動いている。

そんなものを作っても意味がない。

AI開発で大事なのは、仕組みを増やすことではない。

自分が本当に作りたいものを見つけること。
そして、その良し悪しを自分で判断できるところまで、目を鍛えることだ。